益々増えるだろう空家問題(老朽化、樹木の繁茂、不衛生など)。行政側は適切に対処するためのカードを持たなければ。

2019.03.18

世田谷区議会議員、桃野よしふみです。

近年、社会的な問題になっています「空家問題」。

世田谷区でも「特定空家」「管理不全な空家」が(老朽化、不衛生、樹木の繁茂などなど)、周囲の住環境に悪影響を与えトラブルになっている例があります。

先日、予算特別委員会の「都市整備領域質疑」で、そうした問題を取り上げました。特定空家、管理不全な空家をどう無くしていくか。我が国はますます高齢社会へと向かっていきますし、相続をめぐって物件の管理がおざなりになっていく事例も増えていくと思われます。

平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が交付され、その後世田谷区でも平成28年3月に「世田谷区空家等の対策の推進に関する条例」が施行されています。

世田谷区では、条例施行から3年が経ち、この間、所有者不明の特定空家を条例や法に則って除却するなどの例もあり一定の成果が出ています。しかしその一方で、世田谷区がこの条例で対処できていること、対処できていないことも明らかになってきました。

新たな課題も見えてきたということですね。例えば以下のような問題。

・そのまま放置すれば倒壊等の可能性があり、著しく危険な空家あったとします。(特定空家)

・区が、不動産登記情報、課税情報など、法で許されるあらゆる手法で所有者・管理者を探したが不明であった。

・この空家が道路など公共の場所に悪影響をもたらすと思われる場合は、区は略式代執行という大きな権限を使ってこの建物を除却(取り壊して安全な状態にする)することができます。

・ちなみに所有者・管理者が明らかで、区がその者に助言、指導、勧告など粘り強く働きかけても何ら手を打ってくれないような場合は、区には行政代執行で建物を除却する権限も与えられています。

・ところが、この建物が民有地にしか接していない場合は、区は何もできません。民・民の関係の中で対応をしていかなければなりません。例えば一つの手法ですが、周囲の方々が裁判所に「財産管理人」を選定してもらい、且つその財産管理に関する費用を負担しながら、周囲への安全を図るなどということになります。

でもこれは、実際には非常に使いづらい仕組みですよね。手間もコストもかかりますし。

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人の財産を勝手に処分することはできませんから、いくらその建物が危険だと言っても、勝手に壊すことはできません。対処には法的な枠組みが必要になります。よって、上記のような例を一つの課題として区も認識し、国に対応方法について示してもらうなど必要でしょう。

上記の例は「倒壊しそう」という事例で紹介しましたが、例えば「樹木が繁茂して自分の家の建物まで枝が来ている」「ネズミが住み着いて周囲に悪影響が出ている」という例でも同じ。行政はほとんど実効的な対応策を持ち合わせていません。

他にはこの建物が「所有者、管理者ともにいない建物である」という事例も考えられます。身寄りのない方が無くなり、子どもも親戚もいないとなれば、その建物は「相続人不存在」なり所有者のない不動産ということになります。その場合は、民法239条にある通り「所有者のない不動産は国庫に帰属する」。つまり国のものになるわけですから国が責任を持って管理するなり除却するなりしなければなりませんが、実際にはそういう仕組みが無いということも今回の質疑で明らかになっています。

これから増えてくると思われる空家問題(特定空家や管理不全な空家)。行政側はしっかりと対応するためのカードを持ち合わせていなければなりません。区ができることに限界があれば当然、国が動くよう働きかけなければならないでしょう。

世田谷区長といえば、空家対策について「マッチング」(他の用途に転換)とよく言いますが、本当の問題はそんなことでは解決しません。マッチングなどしようのない建物こそ問題なのです。この辺も、世田谷区長に「地に足のついた政策」に取り組んでいただきたいと強く感じるテーマです。

質疑の内容は以下動画でご覧いただけます。

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