「性的マイノリティが理由の場合はOK」で「夫婦別姓を尊重したいとの理由はNG」という世田谷区っておかしくないですか?

2019.02.28

世田谷区議会議員、桃野よしふみです。

「パートナーシップ宣誓」。

渋谷区に続き、世田谷区でもスタート。同様の制度を始める自治体が増えてきました。

本日のブログは桃野の先の一般質問から。

平成27年11月にスタートした世田谷区の「パートナーシップ宣誓制度」。

この制度の趣旨を世田谷区のサイトから引用すると

「同性カップルである区民が自由な意思によるパートナーシップの宣誓を区長に対して行い、その宣誓書を受け取ることにより、同性カップルの方の気持ちを区が受け止める」

取組みです。

これまでは同性カップルが制度の対象でしたが、今後区は、同性カップルに限らず制度の対象にすると制度の改正案を示しています。

例えば、

・戸籍上は男性で、性自認も男性のAさん。

・戸籍上は女性で、性自認が男性のBさん。

戸籍上は男女で、法律婚を選択できるカップルですが、性自認に従って法律婚を選択しないカップルがいれば、このカップルは制度の対象にするというのが今回の制度改正の趣旨です。

桃野は、基本的に誰が誰を好きになって、誰と誰が結婚してもそれは個人の自由な選択の範疇に属することだし、同性婚もちゃんと法的位置付けを持たせるべきだと考えています。その考えはこれまで議会でも述べてきました。

なので、今回の改正案は賛成なのですが、それとは別にどうしても「改正案に賛成です」の一言では素通りできないことがあるんです。

世田谷区が改正案で示していることを解説すると、こういうこと。

「戸籍上は男女であり、法律婚を選択しうるケースであっても、性的指向を理由に法律婚を選択しないカップルを制度の対象にする」

にもかかわらず、区は頑なに「男女カップルの事実婚は対象にしない」としているんですね。

え??なんで?

男女が法律婚を選択しない理由は様々です。性的指向が理由の場合は、そのパートナーシップを認めるけど、その他の理由、例えば夫婦別姓を尊重したいとの理由の場合はこれを認めない。これに合理的な説明がつくのでしょうか。

そして、所管の課長に確認すると、以下のカップルは改正案でも対象外としています。

・戸籍上は男性だが自身の心は女性であると認識しているAさん。

・一方で戸籍上は女性だが、自身の心が男性であると認識しているBさん。

この二人のカップルは戸籍上は「男性Aと女性Bのカップル」ですが、お二人の感覚からすれば「女性Aと男性Bのカップル」という性的マイノリティだけど対象外。

なんで対象外なの?これも桃野にはよくわかりません。

桃野は、平成27年7月29日(最初にこの制度が始まる前から)の区民生活委員会でも言及しましたが、男女の事実婚も含めてより制度の対象を広げるべきです。

昨年10月16日の決算特別委員会で他会派の委員が、千葉市が事実婚もパートナーシップ宣誓の対象にする制度を始めることを挙げ「区は法律婚を選択しない異性間のパートナーシップにどう手を差し伸べるのか」と問うた際、区長は「他自治体の様子を見ながら、さらなる改善、バージョンアップを指示している。その中に、今の点も含めて検討したい」と事実婚を制度の対象とすることに前向きな答弁をしています。

しかしそうした言葉とは裏腹に、今回示された改正案には事実婚は含まれていません。一体区長のこの答弁はどこに行ってしまったのでしょうか。

今年2月4日の委員会で桃野が「事実婚を対象にすべきだ」と改めて述べると所管課長は「今後、事実婚を対象にするかは審議会の中で議論を頂きながら検討していきたい」と答弁をしたのですが、続いて他会派の委員から「事実婚は対象にすべきではない」という趣旨の発言があると今度は部長が「審議会に積極的に検討して頂くようにお願いするという考えではない」と答えています。

一体どっちなの?フラフラフラフラ・・・。

そもそも区長に確たる考えがあるわけではなく、単に話題性を追い求めて区政を動かしているから、現場は揺らいでしまうのではないでしょうか。部下の仕事にも気持ちが入らないというか。

男女のパートナーシップを認めるのに、対象を性的少数者に限定し、事実婚をあえて排除する合理的な理由、を区側に聞いても聞いても何も出てきません。

委員会の中で課長や部長が言及している審議会とは、条例で定める「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」ですが、今回の改正案を、区長は審議会に諮問していません。そして昨年12月の審議会の会議録をみると、委員からは以下の発言が出ています。

「区議会で、パートナーシップ制度をより良いものにすべく見直しを求める声が出て、区も更なる改善の検討を約束しているという話を聞いている。是非この審議会にもその検討状況を提供頂いて、話し合う機会等を頂ければと思う」

その際、区の所管課長は、現在の状況について、トランスジェンダーを対象にするか、やカード型の受領書発行など検討しているなど説明していますが、区長が前向きに答弁した事実婚については一切説明していません。諮問どころか説明すら正しくしていないという状態。

同性婚を含めて制度をスタートした千葉市では、既に2組の事実婚カップルから申請があったそうです。ニーズは必ずあるということです。横須賀市も4月1日から事実婚も対象にしたパートナーシップ宣誓制度を始めると発表しました。申請があれば排除しない。それだけのことなのに、なぜ世田谷区は事実婚を積極的に制度の対象から排除するのでしょう。

世田谷区の議会答弁は以下のようなものでした。


千葉市のように事実婚も対象とする他自治体の例も踏まえてこれまでの区の制度の検証を行ってきた。


この制度は性的マイノリティの方の抱える困難への支援としての人権施策であるので、先ずは同性カップルの方を対象として進めていくものと考えている。


千葉市のように、事実婚を制度の対象とするかどうかは、区の制度の根本的な趣旨に関わることなので今後、必要に応じて審議会等の意見を聞きながら研究をしてまいります。

一般質問は制限時間の中で、やり取りをしなければならないので、深く突っ込んだ議論をすることができませんが、この答弁は明らかに「桃野の質問に答えていません」よね。

同性婚を制度から排除する理由を問うているのに、一切答えていません。「まずは同性カップルの為に」という部分で何かを答えたつもりになっているのかもしれませんが、今すでに異性カップルまで制度を広げていますし、先ずはと言うならその次の段階に進めない理由、それも(性的マイノリティと同性婚で、当事者にとっては受ける権利の差が生じるわけですから)積極的に差をつける理由を示さなければ、説明にはなりません。

結局、世田谷区はあまり深く考えずにやってるんだな、というのが正直なところ。

こんなところにも、世田谷区長の、深く考えずして「マスコミで受けるか受けないか」でものごとを考える癖が透けて見えてしまいます。

■質問の様子はこちらでご覧ください。

(パートナーシップ宣誓制度の対象範囲について、3/1一部ブログ修正しました)

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