貧困、虐待、暴力など、様々な困難を抱えて生きる母子の自立支援を妨げる「ある法的根拠」という問題。

2019.01.17

世田谷区議会議員、桃野よしふみです。

昨日、某所にある「婦人保護施設」で現場を見せていただき、様々なお話を伺ってきたところです。

昨晩、ツイッター等でもこんなことを発信していたら。

タイムリーに今朝の東京新聞に婦人保護施設に関する記事が、大きく掲載されていました。昨日伺った話と符合する内容も。

売春防止法「新法を」 DVやストーカー被害に対応 疑問】(東京新聞)

先ず、婦人保護施設って?ということですが、以下、内閣府のサイトに掲載されている説明。

ここからも大きな課題が見えて来ます。

「売春防止法第36条により都道府県や社会福祉法人などが設置しています。もともとは売春を行うおそれのある女子を収容保護する施設でしたが、現在では、家庭環境の破綻や生活の困窮など、様々な事情により社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性も保護の対象としています。 平成13年4月に成立した配偶者暴力防止法により、婦人保護施設が配偶者からの暴力の被害者の保護を行うことができることが明確化されました。」

桃野が昨日伺った婦人保護施設に入所しているのは、暴力・性暴力の被害者、虐待・性的虐待の被害者、貧困・経済的問題など、生きる上で様々な困難を抱えた妊産婦と新生児、乳児です。

生きるか死ぬかの瀬戸際でようやくここにたどり着いた方も少なくないでしょう。そうした方がこれまで受けてた心身の傷、辛い経験を癒し、生活を立て直していけるよう、現場のスタッフの皆さんが日々奮闘されています。

ところが、その中で大きな問題の一つが「婦人保護施設」の法的な位置づけ。

内閣府も言っているように、 そして上記の東京新聞の記事でも指摘されているように、桃野が現場で伺ってきたように、婦人保護施設は法的根拠をたどれば、福祉のための施設では無いのです。つまり自立支援のための施設になっていない。

根拠法は売春防止法。その「五条違反」での入所。

第五条

売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

一 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。

二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

三 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。

入所者の中には、売春防止法で逮捕された後に、この施設に入所される方もいますが、それとて「困窮からやむなく売春を行っていた人ばかり、好きでやっている人など誰もいない」(施設長談)わけです。

女子を「収容・保護する」施設ではなく、自立支援を行う施設であるべき。

しかし現実をみると、東京新聞の記事にもありますが以下の状況です。

・婦人保護施設は、定員50人以下なら指導員は二人、というのが国の基準。これは「集団生活を送る利用者を管理する看守の発想」で自立支援には手が回らない。

・保護施設を利用するには、まず婦人相談所内の一時保護所に入所する慣例があり、携帯電話の没収や外出禁止などの制約があるため入所をためらう人もいる。

・婦人相談所の半数近くが、心のケアをしていない実態も2017年度の厚生労働省調査で判明している。

昨日、施設でこんな話も伺いました。

「生活困窮や暴力被害等で、もともと支援が必要な状態で暮らしていた女性達が一人で妊娠、出産という状況に追い込まれ、止むを得ず福祉の窓口に来たケースが多い。相談窓口への敷居の高さが、支援の入り口に入ることを遅らせている現実がある」

これも、そもそもの位置付けが「収容・保護」であることと無関係では無いでしょう。

行政側が「婦人保護施設は、様々な困難を抱えた女性を支え、自立を支援するところです。安心して相談してください」と活発に情報発信をすること。そうした女性に適切に情報が届くような媒体、経路を積極的に利用すること。そして、実際に婦人保護施設ではどのような生活を送ることができて、どのような支援があるのかということを知ってもらう工夫が必要では無いでしょうか。

適切な法的位置付けからスタートし、自立支援のためのメニュー、予算を。その上で広域連携(施設の無い県もあり)など、更なる取り組みへと進めなければなりません。

貧困、暴力、虐待を連鎖させない。そのために婦人保護施設における自立支援の取り組みはとても大切です。

貧困、暴力、妊娠・出産など、様々な困難を抱えている方、ためらわずに「福祉」の窓口に相談を。

以下、相談先の電話番号です。

■東京都女性相談センター

・女性相談センター03-5261-3110 )
月曜日から金曜日の午前9時から午後8時(ただし年末年始、祝日を除く)

女性相談センター多摩支所(042-522-4232 )
月曜日から金曜日の午前9時から午後4時(ただし年末年始、祝日を除く)

夜間休日の緊急の場合(03-5261-3911)

■世田谷区の「子ども家庭支援センター」
月曜日から金曜日の午前8時半から午後5時(ただし年末年始、祝日を除く)

・03-3326-6155(からすやま)

・03-6804-7525(きたざわ)

・03-3482-1415 , 03-3482-1344(きぬた)

・03-3702-1189(たまがわ)

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