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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2018-06-15

世田谷区のような自治体が一つあるだけで、全国の「DV被害者やストーカー被害者」の安全を脅かすことに繋がるのです。

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世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
これまで取り組んできた「DV被害者等への支援措置」について。
支援措置をより良いものにして、支援措置対象者が確実に守られる社会を作らなければなりません。
*DV等支援措置
DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者間暴力、家庭内暴力などと訳される)や、ストーカー等の被害者の申し出により、住民票の写しや戸籍の附票の交付に制限をかける制度。被害者の居所が加害者側に漏れることのないよう、住民票などを所管する区市町村の役所が講じる措置です。過去ブログも参照ください。
桃野はこの間、DV被害当事者、ジャーナリスト、研究者、行政の担当者、様々な方々と意見交換や勉強会の参加などを重ねてきましたが、その活動を通じて、今全国各地で、支援措置に対する関心、制度改善への要望が高まっていると感じています。
そんな機運の高まりを象徴するニュースの一つと言えるのでないでしょうか。一昨日、DV問題に取り組む一般社団法人「エープラス」が総務省と内閣府に要望書を提出しました。

住民票交付制限、統一を DV被害者保護へ国に要望 】(6月14日毎日新聞夕刊)

前述のように、支援措置は、DVやストーカー、児童虐待の被害者らを保護するために住民票の交付を制限する制度。しかし、この制度の運用が自治体ごとにまちまちで、身を隠して生活している被害者の住所が、役所を通じて加害者側に渡ってしまう事例が後を絶ちません。

制度の趣旨を理解し、鉄壁の守りで被害者の情報を守っている自治体もあれば、制度の趣旨を理解していなかったり、単純ミスを繰り返したりといったことが原因で被害者の住所を加害者側に漏らしてしまう自治体があります。

その一つが世田谷区。

桃野がこれまで世田谷区議会で取り上げてきたように、世田谷区はこれまで被害者情報の漏えいを何度も繰り返していて、その原因は時に「制度に対する理解不足」、時には「単純ミス」と、支援措置が正常に機能していない状況にあります。

総務省は「DV加害者の依頼を受けた弁護士からの(住所開示の)申請は、DV加害者からの申請とみなし拒否する」と支援措置に対する事務について各自治体に通知しています。

ところがところが、世田谷区の場合、保坂展人世田谷区長という行政トップが「DV加害者」と「DV加害者の依頼を受けた弁護士」は、同一とは見なさないと明言し続けているんですよね。

例えば。

・A子とB夫の夫婦は、世田谷区内○町で暮らしていましたが、B夫の家庭内暴力に耐え兼ねたA子は、◯町の家を出て、世田谷区内△町に転居。

・A子は居所をB夫に知られたくないと、世田谷区役所で支援措置を受けることにしました。

・B夫はA子の居所を探るために、自分の顧問弁護士に依頼して、世田谷役所にA子の「住民票の写し」の交付を請求。

・世田谷区役所は、B夫本人への交付はダメだが、弁護士であれば「B夫にはA子の住所を伝えない」と約束させた上で「住民票の写し」を交付する事務を行う。

・A子の住所がB夫側に渡る。

保坂展人世田谷区長は、このような運用を「正しい」「問題ない」と言い続け、世田谷区役所では、実際にそのように運用しています。桃野が議会で何度、改善を求めても聞く耳を持ちません。

世田谷区のような運用をしていれば当然、「弁護士がA子の住所をB夫に伝えてしまった場合は取り返しのつかないことになるではないか」と考えるのが普通ですが、世田谷区長は「そうなったとしたら、それは弁護士が悪いのだから世田谷区の責任ではない」という考えを示しています(2017年11月20日の世田谷区長記者会見、質疑応答部分

という世田谷区の現状についても桃野は、勉強会等の機会で様々な方にお伝えしながら、総務省も巻き込んで、各自治体の裁量を許さない制度設計をが必要だと主張してきました。

そんな中、今回「エープラス」が総務省と内閣府に要望された内容を要約すると以下になります。

・行政(市区町村の役所等)担当課・担当者の支援措置に対する認識を高め、自治体や担当者によって対応や態度に違いが出るという状況を改めてください。

・DV防止法の目的実現のため支援措置を受ける被害者が自治体内外の相談機関に必ずつながる仕組みを作ってください。

・支援措置制度の運用のため「加害者の依頼した弁護士には不交付とする」総務省通知、事務処理要領を守ることは法律上求められていることです。不統一の実態を改めてください。
・「請求者の同意と被害者への事実・意向確認」を交付事務の審査方法として明記してください。
・「不交付後の裁判所を通じた解決」は支援措置の運用の要です。最高裁との話し合いの内容の説明を求めます。
・自治体アンケートに示された、自治体の様々な質問に、私たち被害者・支援団体の意見を取り入れ解決法を探ってください。
・私たち被害者・支援団体を支援措置制度改善の話し合いに参加させてください。
前述の毎日新聞の記事の中でも言及がありますが、エープラスは今年4月以降、支援措置の運用について全国97の政令市、中核市、特別区に対してアンケートを実施、回答があった41自治体の4割に当たる16自治体が「至急、手順を全国で統一する必要がある」と答えています。
支援措置は、全国の自治体が同じ基準で取り組まなければ意味がありません。例えばこんな例がわかりやすいでしょう。
・世田谷区に住んでいたAさんが、DVから逃れるためにX 市に転居し、X市役所で支援措置を受けた
・当然、X市役所は前住所地である世田谷区役所に「Aさんが支援措置対象者になった」旨の連絡をする
・X市役所では、総務省の通知に則って、Aさんの住所は加害者や加害者の依頼を受けた弁護士などには開示しない旨徹底していた
・ところが、加害者の依頼を受けた弁護士が世田谷区役所にAさんの住民票の写しの交付を申請
・世田谷区役所は弁護士からの申請に対して、加害者には住所を伝えないことを約束させた上で交付。
・加害者側にAさんの住所情報が渡る
世田谷区のような対応をしている自治体が一つあるだけで、全国各地のDV被害者等の支援措置対象者の安全性を脅かすことに繋がってしまうのです。
世田谷区役所が一刻も早くその運用を改めるのはもちろん、世田谷区のような間違いを犯す自治体が生まれないような制度設計が必要です。
この問題については是非、弁護士ドットコムの記事も参照ください。

DV被害者が抱える「追跡の恐怖」…住所の閲覧制限、自治体の基準に不統一な面も

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