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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2017-12-27

新法により、来年6月から区内全域で「民泊」が可能に。区は別途、条例で営業区域や実施期間を制限できるのですが・・・

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世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
新聞を注意深く読んでいると、最近目につくのが「民泊」関連の記事。
「民泊」って何?
国が定義するところの民泊(民泊サービス)については厚生労働省のサイトに説明があります。
(以下、該当部分を抜粋)

Q:「民泊サービス」とは、どのようなものですか。

A: 法令上の定めはありませんが、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することを指して、「民泊サービス」ということが一般的です。
では、なぜ最近、民泊に関する報道が増えてきたのでしょうか。ものすごくざっくり説明すると「来年(平成30年)6月15日に施行される住宅宿泊事業法により、旅館業法の対象ではない「住宅」で民泊サービスを提供できるようになる」から。例えば、住宅地にある自宅や(空き家となっている)持ち家に、旅行者を泊め、対価を受け取ることができるようになるわけです。
では、日本全国いつでもどこでも民泊サービスを提供できるようになるのかというとさにあらず。住宅宿泊事業法の18条で、民泊サービスを提供できる区域や実施期間は、ある程度地元の自治体が決めて良いとされています。
・住宅宿泊事業法第18条
(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)

第十八条 都道府県(第六十八条第一項の規定により同項に規定する住宅宿泊事業等関係行政事務を処理する保健所設置市等の区域にあっては、当該保健所設置市等)は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。
上記にある「保健所設置市等」とは保険所を設置している政令指定都市や東京特別区(23区)を指します。つまり、23区は各区で条例を定めて民泊サービスに制限を加えることができるということ。
これまでの新聞報道などから拾いだすと、来年6月施行の住宅宿泊事業法にかかる東京特別区(23区)各区の方針(条例骨子案など)は以下。
・中央区
区内全域で週末(土曜の正午から月曜の正午まで)のみ民泊可能。
(12/27朝日新聞)
・港区
住居専用地域、文教地区以外の地域、は民泊の営業を制限しない。
住居専用地域、文教地区でも、家主がいれば営業を制限しない。
住居専用地域、文教地区で、家主不在型の場合は、夏休みや年末年始など長期休暇期間に限り計96日を上限とする。
(12/22朝日新聞)
・新宿区
住居専用地域では平日(月曜日正午から金曜日正午まで)の営業を禁止。
(12/7東京新聞夕刊)
・大田区
「ホテル・旅館」の建築が可能な用途地域でのみ営業可能(住居専用地域、工業地域などでの営業を禁止)。
大田区のサイトより)
そして、我が世田谷区。区議会の福祉保健委員会等でも既に、世田谷区(区長・行政側)の考え、条例骨子案が示されていますが、その概要は以下。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域では、平日の営業は禁止(土曜、日曜、祝日の営業のみ可能。年間124日程度)。その他の地域では制限は行わない。
ご自身のお住まいの用途地域についてご存じ無い方も少なく無いと思います。上記4つの用途地域のイメージとしては「2階建程度の戸建住宅や店舗兼住宅の小さな日用品店を建てることができる地域」から「アパートやマンション、小規模スーパーなどを建てることができる地域」までの範囲といったところ。この上の(もっと用途が広い)地域として、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域などがあります。
世田谷区(区長・行政側)の案では、住居専用地域は土・日・祝で民泊営業可能。その他の地域は制限なし。中央区に比べれば制限ははるかに緩いですね。
住居専用地域以外、つまり今回の条例骨子案では制限なく民泊営業が行える地域には、第一種住居地域である成城一丁目や世田谷三丁目、深沢三丁目、松原六丁目なども含まれます。いずれも繁華な街というよりは住宅地としての色が強い地域。こういうところでも制限なく民泊営業を可能とするのはどうなんだろう。
ホテルを建てることができる用途地域なら民泊も制限なし、という風に区長や区(行政)は考えたのかもしれませんが、地元の区民に与える影響はホテル業と民泊サービスでは、また異なるような気がします。
世田谷区内は、その大部分が区民から「良好な住宅地」としての価値を求められる地域なのでは。世田谷区の場合、都心区とは異なり、民泊については、住居専用地域だけでなく、より広い範囲で「住宅都市」としてのあり方を考慮する必要があるのではないでしょうか。

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