行政の仕事としては拙速な印象。又もや世田谷区長、あまり深く考えずに流行りに飛びついてしまったようで・・・

2017.12.04

世田谷区議会議員、桃野よしふみです。

世田谷区が「クラウドファンディング」でお金を集めるとのこと。


クラウドファンディング(英語: Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である(wikipediaより)

クラウドファンディング、例えば。

「起業アイデアはあるんだけど、お金がない。このアイデアをビジネスの形にするために出資してください。儲けが出たらリターンを出します!」

「地元の偉人、◯◯氏の生涯を描く映画を作りたい。趣旨に賛同してくれる方、寄付してください。作品完成後、出資者には無料で貸し出します」

とインターネットで呼びかけるといったことが考えられますね。民間では、ビジネスであるか否かを問わず「資金調達方法」の一つとして、近年その手法が広く活用されるようになってきました。

そして今般、世田谷区でもその「クラウドファンディングの手法でお金を集める」とのことで、12月1日号の区のお知らせ「せたがや」にも掲載されています。

■平成29年12月1日号 区のお知らせ「せたがや」

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■3面

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「皆さんからの寄附を募集します」として、2つの「クラウドファンディング」が掲載されています。

[1]大蔵運動場陸上競技場スタンドの改築

・大蔵運動場陸上競技場スタンドの改築費用の一部に活用します(31年度完成予定)

・寄附金の使途

 (1)座席設置=目標額1500万円(一口3万円×500席)
 (2)障害者スポーツの推進(車いすシャワー2か所の設置)=目標額450万円 

  寄附への記念品:3万円以上の寄附の方で希望される方は寄附者のネームプレートを施設内に取付け

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[2]宮坂区民センター展示車両の補修整備

・宮坂区民センターに展示している車両の補修と、地域活性化事業に活用します

・寄附金の使途

 (1)展示車両の補修整備(屋根上、外板、床下の錆(さび)止め塗装)=目標額510万円
 (2)区民センター運営協議会等との共催事業費用=目標額150万円 

  寄附への記念品:1万円以上の寄附の方に「たまでん羊羹(ようかん)」等を送付。
  また、希望の方は、展示車両内の窓上広告に寄附者の名前を掲載。

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「車両の補修整備」については11月30日の区民生活常任委員会、「スタンド改築事業」については、本日(12/4)のオリンピック・パラリンピック・環境等特別委員会で、報告されたのですが、両委員会ともに、桃野が属している委員会ですので、幾つかの質疑を行いました。

そこでわかってきたのは「どうやら、これは民間で一般的に行われるクラウドファンディング」とは違うぞ」ということ。

例えば、電車の塗装であれば、目標額までお金が集まらなかったら「塗装断念!」となるわけではなく、寄付金の多寡にかかわらず塗装は行われます。つまり世田谷区の一般会計予算の中に、塗装費用は事前に計上され、「寄付金が集まるかどうか」は「補修整備事業には影響を与えない」ということ。大蔵運動場陸上競技場スタンドの改築についても同様。寄付金の多寡は改築に何の影響も及ぼしません。

これって、寄付者の意図をきちんと反映した事業なのかな。

本来、行政がやるべきことがあって、その資金は区民の税金(一般会計予算)で賄うことを決定済み。その一方で「この事業に協力してください!」「クラウドファンディングだ」と。

確かにお金が集まれば、その分、歳入が増え、一般会計で計上済みの予算が「浮いてくる」わけだけど。でも、それは、結果的には「区に対する一般的な寄附」ですよね。「昔の世田谷線の車両には思い入れがあって、その維持費を一部負担するためなら、1万円寄附しよう」という方の思いは「利用されている」だけではないか。この寄付者が区民であれば、既に納税という形で塗装費用の一部は負担しているんだし。

「寄付金」と「寄付金の使途」の関係が、よく分からない。これなら、何か区民の耳目を引きつけそうなことを掲げて「◯◯のために寄附してください!」って呼びかけて、何でもかんでも集金の手段にしてしまうようなことがまかり通ってしまうのではないか。

一方、例えばこんなケース。

・区内にあるA図書館。建物の老朽化が進み維持費がかかる上に、交通不便なところに立地しているので、利用者が非常に少ない。

・A図書館から徒歩15分ほど離れたところにB図書館がある。

・世田谷区は「A図書館を廃止したい。 B図書館の充実を図るので代替施設として利用して欲しい」と区民に呼びかけた。

・区民からは A図書館の存続を求める声が多く寄せられたが、区は存続には難色を示していた。

・区民が主体となり、クラウドファンディングを利用し、図書館存続の資金を集める動きが起きた。

・区は、存続のための目標金額を設定し、その金額が集まれば、◯年間A図書館を存続すると決定。

・並行して従来予定していた予算でB図書館の充実は進める。

もしも、こういうことならば、クラウドファンディングの意味もあると思うんだけど。

今後、区がどういう基準で「この事業はクラウドファンディングで寄付を募る」とするのでしょう。区の中で(行政の中で)どういう整理が行われているのか、と今日の委員会の中で問いましたが、区の答弁は簡単に言うと「初めての取り組みでとにかくやってみた。議論はまだできていない」というもの。

ちょっと、これは行政の仕事としては拙速ではないでしょうか。あまり深く考えることなく「流行りもの」に飛びついてしまった印象です。こういうところにも、世田谷区長の「あまり考えずにやってしまう」「流行っているからと飛びついてしまう」危うさを感じます。

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