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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2017-10-08

区幹部職員の議会答弁から。文章読解力がまさに中学生以下という話(これでは被害者はいつまでたっても救済されない!)

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世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
昨日のブログに続いて、決算特別委員会での桃野の質疑より。
DV(ドメスティック・バイオレンス)被害から逃れるため、DV加害者に自分の居所がばれないように、と世田谷区で「支援措置」を受けていたAさん。
世田谷区は、DV加害者や、DV加害者の依頼を受けた第三者(弁護士等も含む)から「Aさんの住民票」への交付依頼があっても、これを拒否しなければなりませんでした。
しかし、世田谷区はこれをDV加害者の弁護士に交付してしまったという事件。区は「加害者弁護士には、加害者へ住所を伝えない旨の一筆をとって交付したんだから問題ない」としています。
■以下、世田谷区が自分たちの主張を他区に喧伝するために配布した文書
名称未設定-1
下から5行目。世田谷区は、自らの事務の正当性の根拠を「住民基本台帳事務処理要領 第5-10-コ(ア)A(c)」だとしています。この文書は、支援措置にあまり詳しくない方が見れば、本件における区の事務手続きが何かルールに則ったものであると感じてしまうかもしれません。
ちなみに、この「事務処理要領」は総務省が全国自治体に通知しているもので、いわば「住民基本台帳を扱う際には、こういうところに気をつけて対応すること!」というルールを定めているものです。では「住民基本台帳事務処理要領 第5-10-コ(ア)A(c)」とは何なのか?
■以下、住民基本台帳事務処理要領より抜粋
(赤線は桃野が付記)
名称未設定-1
この要領では、「第5−10−コ」 で「支援措置」について定めていて、その「(ア)」は、 「住民基本台帳の一部の写しの閲覧の申出に係る支援措置」の項目。ここで区の言っていることは早くも意味不明になります。つまり、本件、Aさんに関して問題になっているのは「住民基本台帳の閲覧」の話ではなく「住民票の交付」の話なのですから。
続いて、区が根拠と主張している部分を読み進めると以下の内容。
(以下引用)
A 市町村長は、支援対象者に係る住民基本台帳の一部の写しの閲覧について、以下のように取り扱う。
 (C) その他の第三者から申出がなされた場合
 加害者が第三者になりすまして行う申出に対し閲覧させることがないよう、十分留意 して厳格に本人確認を行うことが適当である。また、加害者の依頼を受けた第三者からの閲覧に対し閲覧させることがないよう、利用の目的等について十分留意して厳格な審査を行うことが適当である。なお、加害者が国又は地方公共団体の機関の職員になりすまして閲覧を請求すること も考えられるため、法第 11 条に基づく請求であっても、閲覧者については、十分留意し て厳格に本人確認を行うことが適当である。
(引用以上)
本件においては「加害者が第三者になりすまして行う申出」でも「加害者が国又は地方公共団体の機関の職員になりすまして閲覧を請求した」でもありません。ということで区は「加害者の依頼を受けた第三者からの閲覧」の部分を指して根拠にしているのでしょう。
でも、ここでまた「?????????」と、私の頭の中には疑問符が飛び交います。
「加害者の依頼を受けた第三者からの閲覧に対し閲覧させることがないよう、利用の目的等について十分留意して厳格な審査を行うことが適当である。」
「加害者の依頼を受けた第三者からの閲覧」ですから、ここでは「加害者からの依頼を受けた代理人(弁護士ら)」を含むのは明らか。つまり「加害者からの依頼を受けた弁護士には閲覧させてはいけません。だからDV加害者でもDV被害者でもない、第三者(弁護士ら)からの閲覧請求があった場合は、それが加害者の依頼を受けた第三者からの請求ではないか十分に審査しなさい」と言っているんです。
少なくとも中学生程度の文章読解力があれば、理解できる文章。ましてや公務員試験という難関を勝ち抜いきた職員がこれを読み取れないなんてこと無いでしょう。
というとこで、なぜ「住民基本台帳事務処理要領 第5-10-コ(ア)A(c)」が根拠になるのか。質疑の中で区側にぶつけると、出てきた答弁は以下。
(区の答弁)
「住民基本台帳事務処理要領 第5-10-コ(ア)A(c)」を根拠にと記載があるが、これに加えて「(総務省が各自治体に通知している)質疑応答の問15」のところに記載されている項目を根拠にしている。

また、これも何か小難しい話を持ち出して、質疑を煙に巻いてしまおうとする答弁に感じますが、これ全く意味不明
「問15」とは以下内容になります。
【ドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者 保護のための措置に係る質疑応答について】
(総行市第218号 平成16年5月31日)

(問15)請求事由につきより厳格な審査を行う場合、国又は地方公共団体の職員や 弁護士等による職務上の請求については、いかなる審査をすべきか。【コ―(ア) ―A―(C)並びにコ―(イ)―(A)及び(C)関係】
(答) 職務上の請求である旨に加え、提出先がある場合にはその提出先、使用目 的や使用事務等を適宜確認し、被害者の住所情報が加害者に漏れるおそれが ないことを確認することが適当です。
これは「住民基本台帳事務処理要領 第5-10-コ(ア)A(c)」で定める審査とはなんぞやという問い、への答であって「加害者の依頼を受けた第三者からの閲覧に対し閲覧させることがないよう(=加害者の弁護士には閲覧させてはいけませんよ)」という部分には何の影響も与えない問いと答えです。

自分たちの過ちを議会で指摘されても、なんとかして乗り切ろうとする態度。全く意味不明の答弁であっても、議員の質問時間をなんらかの答弁で埋めてつぶせば乗り切れる、とする区の姿勢は不誠実極まりないものです。そして、こんな議会でのやり取りを見ても、一切無視を決め込み、反省も改善もしようとしない保坂区長。これでは区長の任にあらずです。

質疑の様子は世田谷区議会のサイトでご覧いただけます。ぜひご確認ください。
スクリーンショット 2017-10-08 15.04.02

 

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